サンクコストとは?サンクコストへの対応例

事業の運営を開始したり、店舗を出店したりするとよく出てくる言葉に「サンクコスト(埋没費用)」というものがあります。

サンクコストは簡単に言うと、既に回収が不可能になったコストのことです。事業で失敗することはよくあることですが、サンクコストは単に損失を出したということではなく、心理的に損の上乗りをする懸念を与えるコストという意味を含んでいます。逆に言えば、意思決定に影響されてはならないコストでもあります。

コンコルドの誤謬

サンクコストを語る上で欠かせない例として挙げられるのが「コンコルドの誤謬」です。コンコルドは1960年代にイギリスとフランスが共同開発した「超音速旅客機」です。マッハ2の速度で飛行する夢の旅客機と当時は脚光を浴びていました。

しかし、開発は難航し、販売先である航空会社からのキャンセルも続出したことで、完成する前から「商業的に成り立たない失敗作」というのが誰の目にも明らかでした。

ところが、コンコルドの開発には莫大な資金が投じられていたため、いまさら無駄にするわけにはいかないからと、開発を強行しました。

結果的に完成して就航にこぎつけましたが、案の定採算が取れず、2003年に全機の運行が停止されました。コンコルドはその機体の美しさよりも、事業における「反面教師」として歴史に名を刻むことになりました。

サンクコストの要件は迷い

サンクコストの実例としては以下などが挙げられます。
【例①】
プロ野球の日本シリーズのチケットをネットで購入することにしました。スケジュールの関係で前売り予約ができなかったため、1万円までならどの席でもいいと思っていたら、運よく5,000円の席が取れました。

当日、球場に着いてチケットを出そうと思ったら、家に忘れたきたことに気付きました。チケット売り場を見たら、8,000円の席に残席有りと表示されています。

ただ、既に5,000円を使っているため、また8,000円を支払うと5,000円を損することになります。

結論から言えば、新しいチケットを購入すべきです。日本シリーズの観戦に1万円を支払っても構わないということは、日本シリーズの観戦価値が1万円ということです。

そして、現時点で日本シリーズを観戦するためのコストは8,000円であり、観戦価値の1万円より安い価格です。従って、チケットは購入すべきとなります。

一方、家に置き忘れた5,000円のチケットは取り返すことのできない失ったサンクコストであり、現時点で意思決定の判断に入れるべきものではありません。ここで躊躇すると、5,000円に加え、1万円の価値まで失うことになります。

【例②】
オフィスビルが立ち並ぶ街でハンバーグレストランを開いています。雑居ビルも多いせいか、昼間から夜間まで人通りがあります。現在はランチ中心の営業をしていますが、家賃が増えるわけではないため、夜間の営業を検討しています。食器や備品も十分に購入済みです。

レストランの経営における家賃、フロア用のテーブルやイス、厨房用の調理器具や食器などの費用は使ってしまったものであり、サンクコストです。道具がそろっているから営業しても問題は無いという意思決定は、サンクコストに影響されていると言えます。

夜間に店を開くかどうかの判断は、サンクコスト以外の費用(食材費、人件費、光熱費など)が夜間の客数から得られる売上で賄えるかどうかによります。家賃などのサンクコストを考慮する必要はありません。

【例③】
株価が500円から400円に下がったことで含み損が発生し、100万円の元手が70万円になってしまいました。合理的に考えれば、100万円はもう使ってしまったサンクコストであり、値下がった株式をどうするのか、70万円の資金で今後の投資を検討すべきです。

ところが、100万円のサンクコストに影響されると、100万円を投資したのだから100万円に戻るまで待つという発想を持つようになります。

サンクコストは意思決定に心理的効果を及ぼします。既に支払ってしまったものを簡単には捨てられないのが人情ですが、良い意味で「あきらめ」の気持ちが必要です。

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